アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎とは、本来異物を体内に入れないための防御機構である、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりが病的、かつ過剰に起こる病気です。体がある物質を異物と認めると、それから身を守ろうとして抗体が作られます。再び鼻から異物(抗原)が入ってくると、それと粘膜内の抗体が抗原抗体反応(アレルギー反応)を起こし、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりが発現します。
重症化したアレルギー性鼻炎では、症状の不快さから睡眠不足や集中力の低下が生じます。仕事や学業にも悪影響を与えることもあり、生活の質(QOL)を著しく低下させる可能性がある疾患です。
アレルギー性鼻炎の症状
鼻水や鼻づまり、くしゃみがアレルギー性鼻炎の主な症状として挙げられます。風邪とは異なり、発熱はほとんど見られません。「透明で水っぽい鼻水が止まらない」「鼻づまりがひどく息苦しい」「くしゃみが連続して出る」といった症状が特徴です。
また、鼻以外の部位に、次のような症状が現れることがあります。
耳
かゆみ
目
充血・涙が出る(アレルギー性結膜炎)・かゆみ
季節性アレルギーの症状でよくみられます。
喉
イガイガ感・乾燥による痛み・かゆみ
皮膚
肌荒れ(かゆみ・ヒリヒリ感)
その他
においが分かりにくい・頭痛(頭が重く感じる)など
アレルギー性鼻炎原因
アレルギー性鼻炎には、1年中症状が続く「通年性」と、特定の季節にのみ症状が現れる「季節性」の2種類があり、それぞれの発症原因(アレルゲン)は異なります。
通年性アレルギー性鼻炎:ハウスダスト(ダニ)
通年性のアレルギー性鼻炎は、ハウスダスト(ダニ)が主な原因です。真菌(カビ)や昆虫、ペットの毛(猫・犬・ウサギ・ハムスターなど)なども含まれています。
季節性アレルギー性鼻炎:花粉
季節性のアレルギー性鼻炎は、植物の花粉が飛散する特定の時期にのみ症状が起こります。喉の炎症や目の症状(アレルギー性結膜炎)などが主な症状です。
花粉症の原因は、春に飛散するスギやヒノキの花粉だけに限らず、日本国内では、春以外の季節に飛散する花粉や、特定の地域で見られる花粉を含め、60種類ほどの花粉が発見されています。
神奈川県近郊の花粉の飛散
- 春(2月~5月頃)……ヒノキ・スギなど
- 夏(5月~7月頃)……カモガヤなどのイネ科の雑草
※イネ科の雑草は、9月頃まで飛散する種類もあります - 秋(8月~10月頃)……ブタクサなどの草木
- 冬(1月)……ハンノキ
アレルギー性鼻炎の検査
問診
問診では、患者様の自覚症状や発症時期、その他のアレルギー疾患がないか、アレルギー性疾患の家族歴などをお聞きします。
鼻鏡検査
鼻の粘膜の状態を詳細に観察します。
特異的IgE抗体検査
採血にてアレルギー性鼻炎の元となるアレルゲンを明らかにするための検査です。血液を採取し、アレルギー反応の強度やアレルゲンの項目を把握できます。
アレルギー性鼻炎の治し方
治療の原則は原因物質の排除ですが、実際には困難なことも多く、症状をコントロールするため内服薬や点鼻薬、時にはレーザー手術も行われます。抗原が分かれば、そのエキスを少しずつ増量しながら注射して反応を起こしにくくするアレルゲン免疫療法として、口腔粘膜から抗原を吸収させる舌下(ぜっか)免疫療法も開発されています。
薬物療法
薬物療法は、アレルギー性鼻炎の治療の中心となります。アレルギー性鼻炎の症状には個人差があり、近年では、副作用が少なく眠気や口の乾きが起こりにくいお薬も登場しており、種類も豊富になっていますので、患者様に適したお薬を使用します。
抗ヒスタミン薬
鼻水やくしゃみを抑える効果があり、即効性もあります
抗ロイコトリエン薬
鼻づまりの改善に特に効果的で、鼻水やくしゃみも抑えるお薬です。
ステロイド点鼻薬
鼻づまりを改善し、炎症を抑える作用があります。
この他に漢方薬を使用することもあります。
鼻のレーザー治療について
鼻粘膜にレーザー光線を照射して粘膜表面を焼灼(しょうしゃく)します。花粉が鼻の粘膜に反応しにくくなる効果によって花粉症アレルギー鼻炎、その他によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状を改善いたします。
レーザー治療は、局所麻酔を用いて行います。日帰り手術が可能で、治療時間は約15分(麻酔の時間を含めると1時間程度)で済み、健康保険が適用されます。
個人差はありますが1年から2年程度効果が持続いたします。
舌下免疫療法
初回は、副作用の確認のために病院で投与しますが、2回目以降は自宅で1日1回、舌の下に治療薬を入れて、一定時間後に飲み込みます。
皮下免疫療法(注射)と比較して副作用のリスクが低く、簡単に治療を進められます。ただし、現在のところ、日本国内ではスギ花粉症とダニ(ハウスダスト)アレルギーの治療に限り処方可能です。
アレルギー性鼻炎でよくあるご質問
アレルギー性鼻炎はどうやって治すの?
アレルギー性鼻炎の治療は、各種症状を改善する対症療法である薬物療法と根本的な原因にアプローチする免疫療法の2つが主な治療方法です。免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に対する体質の改善を目指します。
アレルギー性鼻炎の特徴は?
鼻水や鼻づまり、くしゃみが主な症状ですが、特にくしゃみは連発します。鼻水は、風邪などの感染症による粘り気のある鼻水とは異なり、無色でさらさらと水っぽいです。鼻づまりは、鼻の粘膜が腫れることによって引き起こされます。
アレルギー性鼻炎がひどくなるとどうなる?
アレルギー性鼻炎が進行すると、くしゃみが頻繁に起こり、水っぽいさらさらした鼻水が止まらなくなります。その他にも、鼻づまりが続き、呼吸苦が起こる場合もあります。
アレルギー性鼻炎のピークはいつですか?
スギ花粉は1月下旬から飛散し、2月中旬から4月までがピークです。ピークを過ぎても6月中旬までは飛散が続くため、症状が長引く方も多いです。 ヒノキ花粉はスギ花粉よりも飛散期間が短いです。3月中旬から5月中旬までの期間で飛散し、特に4月に多く飛散します。