肺気腫(COPD)

肺気腫(COPD)とは

タバコを吸っている人の中で、

  • 最近咳や痰が普段よりひどくなってきた
  • 階段上ると息切れが辛い
  • ちょっとした風邪でも症状がなかなか治らない

などの症状が出ている人はいないでしょうか?周りのたばこ仲間も同じようなこと言ってるから、そんなものだろうと流してはいけません。もしかしたら肺気腫(COPD)の前兆があるかもしれません。

肺気腫(COPD)とは慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)、または肺気腫という言葉を聞いたことありますでしょうか?ガイドラインでは、「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患」となっています。ようするに、たばこを吸い続けたことで、肺や気管支が傷ついたことで、気管支にタールなど有害物質がべたべたくっついたり、肺が穴ぼこだらけになったりして、症状が出てくる病気です。

この病気の怖いところは、病状が進行すると不可逆性、つまりタバコをやめても治らないところにあります。肺は体の中でも繊細な臓器の一つです。よく風船の集まりと表現されるのですが、そのような風船が傷ついて穴が開いてしまうと空気が漏れ続けるばかりで薄い膜は元にもどらないのです。つまり、たばこを吸い続けたせいで一生肺気腫と向き合わなければならないのかもしれないのです。

肺気腫の症状は?

肺気腫の症状は?肺気腫が進行すると治らない怖い病気と前述されても、

  • タバコを吸っていたら多少咳や痰がでるのは覚悟の上
  • ぽっくりと死んでもいいから、タバコをやめたくない
  • ちょっと階段上るのが苦しいのはタバコ吸っていたら当たり前

なんて思っている愛煙家の皆様も多いと思います。タバコが体に良いと吸っている人はまずいないでしょう。体に悪いということは皆さんわかっていてタバコを吸っていると思います。しかしどのような症状が進行すると出てくるかご存知でしょうか?

肺気腫のまず一番の症状が

  • 息切れ

などの呼吸器症状です。文字で書くのは簡単ですし、軽い症状ですと軽視しやすいかもしれないです。しかし症状が重くなると

  • 咳が24時間し続けて、眠れないし、生活ができない。
  • 痰が常に喉から気管支に張り付いている感じがして、薬を飲んでも治らない。
  • ベッドから起き上がる、椅子から立ち上がるだけで息が苦しくなり、常に水の中で生活しているような感覚になり、気持ちが落ち込む

など非常につらい日常生活が待っています。咳、痰、息切れは悪化すると痛みなどよりもつらい症状ともいわれており、次第に気持ちも落ち込みやすくなります。
さらに最近では肺に起こった炎症が全身に広がり色々な障害が起こることが知られています。
具体的には

  1. 胃腸障害(タバコの煙が食道や胃にいくことで食道癌、胃潰瘍、逆流性食道炎などを引き起こします)
  2. 代謝障害(ホルモンバランスが崩れたり、運動量が少なくなることで糖尿病や脂質異常を引き起こします)
  3. 骨粗しょう症や筋障害(タバコの炎症が骨や筋力にもおよび、骨がもろくなったり、筋力が低下したりします)
  4. 心臓や血管障害(動脈硬化を引き起こし、血圧上昇した結果心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします)

百害あって一利なしとはまさにタバコのためにつけられたことわざと呼吸器内科医は常々思います。このように肺のみならず全身に害をなすことで次第に心身ともにむしばんでいきます。

肺気腫の怖いところはこれらの症状がゆっくりと進行することで、手遅れになった状態で発見されることが多々あるところです。

当院の肺気腫の検査・診断について

当院は肺気腫(COPD)の診断および合併症を徹底的に確認したいと思います。
常にタバコを吸っている人は常に肺気腫があることを念頭に診察しております。
まず肺気腫の診断の前に胸部のレントゲンを撮影します。肺気腫の代表的な症状である

  • 息切れ

は呼吸器疾患のどの症状にもいえることです。そのため他の疾患がないか鑑別させていただきます。
特に肺気腫に限らずタバコは、

  • 肺癌
  • 間質性肺炎

など命に直結するような怖い病気も発症しやすくなります。そのため、まず肺気腫をじっくりと治療できるかどうか、緊急性および総合病院に行く必要があるかどうかレントゲンで肺の状態を確認させていただきます。

もしレントゲンで異常がなければ次にスパイロメーターによる呼吸機能検査を行います。

呼吸機能検査では、

  1. 息がどれ位吐けて、どれ位吸えるか総量を確認(肺活量)
  2. 息が一秒間に一度にどれ位吐けるか確認(1秒量)

の2点を検査します。特に肺気腫では②の1秒量を元に診断および病態の進行を評価するようガイドラインで示されています。具体的には、1秒間に吐ける量が肺活量の7割以下であれば肺気腫と診断するようになっています。そしてこの肺気腫の重症度は下記のグラフのように分類されるように示されています。

病期 特徴
Ⅰ期 軽度の気流閉塞 %FEV1 ≧ 80%
Ⅱ期 中等度の気流閉塞 50% ≦ %FEV1 < 80%
Ⅲ期 高度の気流閉塞 30% ≦ %FEV1 < 50%
Ⅳ期 極めて高度の気流閉塞 %FEV1 <30% もしくは %FEV1 <50%で慢性呼吸不全のある方

%FEV1.0は身長と年齢から算出された平均の人と比較した値です。%FEV1.0が80%以下というのは平均の人より、8割程度しか息が一度に吐けないことを示します。肺気腫はこの数字が下がれば下がるほど重症度が高いとなります。
1度に息が吐ける量が減るというのは、つまり気管支がタールなどでべたべたになっていたり、肺が穴ぼこだらけになって気管支を圧迫したりなどして狭くなっている証拠です。試しにストローを加えた状態で一度に息を吐こうとしてみてください。一度に沢山はけないと思います。この状態が肺気腫の状態と考えていただければイメージしやすいのではないのでしょうか?
しかしそれでも%FEV1.0と聞きなれない単語で数値を言われてもどれ位悪いのか、イメージしづらいかもしれません。そのため当院ではフローボリュームの結果をもとに肺年齢をお示しします。自分の肺年齢が、実年齢より干支が1周以上回っていれば、肺の状態が悪いとイメージしやすいのではないでしょうか?
当院ではCOPDの状態を把握して場合によっては合併症の精査も検討していきます。

  • 最近血圧も上がってきた
  • 健康診断で糖尿病や脂質異常症も異常が言われている

なんて思い当たる項目がある人はぜひ事前に教えていただければと思います。状況によっては心電図や採血なども考慮していきたいと思います。

肺気腫(COPD)の当院の5つの特徴

  1. フローボリュームにて肺気腫の正確な診断を行い、重症度も数字で確認します。
  2. 胸部レントゲン写真をはじめとして、肺気腫で起こりえる合併症を確認していき、見逃しがないよう心がけます。
  3. 複数の吸入薬がある中で、患者様にあった治療を行っていきます。
  4. 24時間SpO2モニターを使用して、外来のみならず家での酸素状態も確認できます。
  5. 在宅酸素使用している方も呼吸器内科専門医の元、継続治療をさせていただきます。

具体的な当院の肺気腫の治療の流れ

当院の肺気腫の治療はガイドラインに準じて治療していきます。具体的には

となります。大事なことはこの中で一番最初にすべき管理法はどれになるかわかりますか?
多くの人は分かっていても避けてしまう『禁煙』になります。タバコを吸うことで、肺や気管支を傷つけてしまう病気なので、まずは傷つけることを辞めることから始めないといけません。大事なことは減煙ではなく禁煙です。
よく

  • タバコの吸う本数を減らしてみた
  • ニコチン量が少ないタバコに変えた
  • 電子タバコに変えた

など努力はしているという話をアピールする方がいます。しかし本数が減っても意味がないという論文も出ています。吸う本数が減った分、その分タバコ1本を深く吸ってしまうため肺にとってのダメージ量は一緒という結果も出ています。
また種類などを変えても、外から中に煙を入れること自体肺を痛めてしまうので意味がないのです。中途半端に逃げ道を用意すると、結局だらだらと吸い続けることが多いです。
そのため当院では禁煙外来も用意しています。肺気腫と診断された方はこの機会にぜひ辞めてみませんか?
『どうせ禁煙なんか無理だよ』と諦めてしまうと、先ほど記載したような辛い症状の日々が待っています。私たちは一人でもそんな辛い症状を迎えないようにオリジナルの禁煙プログラムを組んで行いたいと思います。詳しくは禁煙外来の項目を確認してみてください。

一方でタバコを止めたら終わりという病気ではないのが肺気腫の辛いところです。
症状を少しでも和らげるために先ほどの表にもある、

  1. 長期β2刺激薬
  2. 抗コリン薬

の吸入薬を使用していきます。ただし、抗コリン薬は

  • 隅角型緑内障
  • 前立腺肥大症にて排尿障害がある人

は使用できないため、我々も一辺倒に処方せずに患者様の状況に合わせて使用していきたいと思っております。特にご高齢の男性の方は診断されていなくても前立腺肥大症があるケースもしばしばあります。

  • 尿が出にくい
  • 残尿感がある
  • 頻回にトイレに行くようになった

等の症状がある方は要注意です。
その場合は泌尿器科と相談しながらお薬を使用するか検討したいと思います。これらの吸入薬は単剤もあれば、近年合剤といって、単剤を2回吸う手間を減らし1回で2剤が吸えるようなお薬も登場しています。さらに、この2剤でも効果ない方は、吸入ステロイドを検討することになります。
ただし、ステロイドの使用は現在慎重になるべきとの意見もあります。炎症を和らげる作用がある一方、免疫力を落とす作用もあるためです。特に使用を検討する症例は気管支喘息のアレルギーの炎症が合併している場合推奨されています。

当院では気管支喘息/咳喘息の診断・治療には特に力を入れております。呼気NOといって息を吐くだけでアレルギーが分かる検査を行います。この検査で肺気腫と気管支喘息の合併かどうか即時に判断させていただきます。近年合剤が2剤に限らずこの吸入ステロイドを加えた3剤の合剤も登場しております。
抗コリン薬、β2刺激薬単剤でやるべきか、合剤でいくべきか、また同じ合剤でも、

  • ドライパウダーかスプレータイプ
  • 1日での吸入回数
  • 吸入の仕方

など様々なタイプが存在します。当院では新しく出てきたお薬も含めて患者様毎に合わせながら柔軟に処方していきたいと思います。

ただし肺気腫は薬だけではコントロールが難しいことが多い病気でもあります。薬をやっても息が苦しい、酸素状態が悪い方は在宅酸素の適応になるかもしれません。酸素状態が悪いかどうかは当院では24時間SpO2モニターといって、1日での酸素状態を確認する機械をお貸しすることで確認することができます。SpO2とは動脈血の何%に酸素が結合しているか、指につけることで測ることができる数値です。痛くも痒くもなく簡便に検査することができます。そのため酸素投与の適応かどうか家で測定することができます。薬で治療後も

  • 階段上るのがやっぱり息苦しい
  • お風呂から上がったらしばらく息切れで休まなければならない
  • 最近起き上がるのすら息苦しくて億劫だ

という肺気腫の方は酸素が足りない可能性があるので、ぜひ一度相談してみてください。酸素状態を測定することで、低酸素状態で日常生活を過ごしていたのが発見できるかもしれません。もし低酸素状態で酸素が必要な方は、酸素を補なう必要があります。そのため酸素ボンベを携帯したり、おうちで酸素が出る機械を置いたりして、労作時(出歩いたり、お風呂に入ったりなど)のみ酸素を使用する人もいれば、常時使用して酸素状態を保つようにする人もいます。在宅酸素の導入は酸素量を決めるため、総合病院で入院しながら決めることが多いです。使い方を間違えると酸素なので火事の原因にもなるため、しっかりと学習する必要があるためです。そのため当院も在宅酸素が必要と判断した方は、

連携病院
  • 横浜労災病院
  • 井田病院
  • 関東労災病院
  • 日本医科大学武蔵小杉病院

などにご紹介させていただきます。

一方で在宅酸素導入後は当院でも管理することができます。私自身、総合病院に勤めていた時は在宅酸素導入から、外来管理まで多くの人を行ってきました。その経験をいかしてクリニックでもご対応していきたいと思います。先ほどの24時間SPO2モニターなども取り揃えているため、酸素量の変更も可能です。在宅酸素は導入した場合毎月病院に通う必要がある治療です。

  • 毎月通うのに総合病院が家から遠い
  • なかなか主治医の外来日に予定を合わすのが難しい
  • 重症患者が多い総合病院に通い続けるのに抵抗がある

などなど、様々なご事情があると思うので、もしよければ当院に通院したことがある方も、初めての方も総合病院にご相談いただければと思います。

尚、現状COPDの治療は在宅酸素療法までが多いです。表の一番上の外科療法は、日本でも数施設しか行っていません。つまり多くの総合病院で行っていない治療です。さらに適応が非常に厳しくほとんどの方が適応外になります。つまり、当院は肺気腫の軽症例から重症例まで、幅広く対応できるクリニックとして皆様に力になれればと思います。

当院から肺気腫(COPD)でお困りの患者様へ

肺気腫は孤独な病気ともいわれます。タバコを長期間吸ったせいでなった病気ですので、どうしても自業自得とみられがちです。そのため、症状を訴えても親身に答えてくれないケースもあり得ます。
当院はどんな状態の患者様も寄り添って対応して行ければと思います。私たちも一緒に戦っていこうと思いますので、ぜひ患者様も禁煙をはじめとして一緒に立ち向かっていきましょう。

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