直腸がん

直腸がんとは

大腸がんの中で肛門に近い直腸にできるものは直腸がんと呼ばれます。直腸がんは大腸がんの中でも発生頻度が高く、肛門機能に影響を及ぼす可能性があり、進行した場合人工肛門が必要になることがあります。また、生殖や性機能にかかわる神経や臓器が周辺にあることから、治療の歳に特別な配慮や判断が求められることもあります。こうしたことから、直腸がんは他の大腸がんとは分けて考える必要があります。
大腸ポリープから発生することが多く、大腸カメラ検査で早期発見が可能であり、前がん病変の大腸ポリープを切除することで予防につながるという点は他の大腸がんと変わりません。

症状

直腸がんの場合も早期には自覚症状が現れにくいのですが、硬い便が通過する場所ですのでサイズが小さいうちから硬い便が擦れて出血を起こす可能性が高く、血便や便潜血検査陽性をきっかけに比較的早く発見できることが多くなっています。病変が大きくなるにつれて、便秘と下痢を交互に繰り返すなどの便通異常を起こすこともあります。また、出血を繰り返して貧血になり、動悸・頻脈・めまい・顔色の悪さ・倦怠感といった症状を起こすこともあります。病変が大きくなって腸管が狭窄し、便が細くなることもあります。また腸管が完全に閉塞してしまう腸閉塞を起こすことがあり、その場合には腹痛、膨満感、吐き気や嘔吐といった症状を起こし、状態によっては緊急手術が必要になる場合もあります。

検査・診断

検査・診断大腸カメラ検査を行って病変の状態をくわしく観察し、組織を採取して病理検査を行って確定診断します。直腸がんと診断された場合、病変がどこまで広がっているかを確かめるために、腹部CT検査や超音波検査(腹部エコー)、MRI検査などを行います。治療方針はこうした検査の結果を総合的に判断し、可能な選択肢についてしっかりご理解いただいた上で患者様と相談しながら決めていきます。

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治療

直腸粘膜内にがんがとどまっている場合には、内視鏡による切除手術が可能です。内視鏡による手術ができないケースでも、肛門から切除を行う比較的侵襲の少ない手術ができる場合もあります。外科手術も、腹腔鏡による手術やロボット手術などが行われるケースが増えてきています。ただし、かなり進行している場合には開腹手術を行い、肛門機能を残さずに人工肛門が必要になることもあります。また転移が認められる場合には、手術だけでなく、放射線療法や化学療法を行うこともあります。
肛門機能を温存できればQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をできるだけ守ることができますので、手術内容は慎重に検討する必要があります。また、直腸周辺には排尿や性機能に関係した重要な神経がありますので、患者様の年齢やライフステージによってはそうした神経の温存についての検討も重要になります。

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